馬装

鞍を載せたり手綱の合図で馬が動くのはその様に調教されているから

馬の手入れと馬装の流れ・方法

 乗馬をするには鞍や鐙、頭絡などの馬具を馬に装着します。何も付けずまたがって鬣につかまり首にしがみつくわけではありません。馬が馬具を装着させて人を鞍に乗せ手綱や脚での合図に従って走ったり止まったりするのは馬がそのように調教されているからであり、野生の馬は鞍すら背中に載せさせてはくれないでしょう。乗馬クラブで会員が騎乗する馬たちは一通り調教されているのでさほど心配はありませんが、中には馬装や裏彫り(後述)などをすんなりやらせてくれない馬もいます。逆にこちらのやろうとしていることを感じ取って馬装をやりやすくさせてくれる馬は結構います。

 騎乗の準備として馬装をするわけですがその前には馬の手入れをします。手入れとしては馬の足裏に溜まった泥などの汚れを取り除く裏彫り、ブラシでの馬体のマッサージといったことをしてあげます。手入れは騎乗前と後に行い毎回のことなのでつい作業になってしまいがちですが、馬の手入れの目的は意識してやって欲しいところです。手入れや馬装の際にいくつか念頭に入れておいて欲しい事を以下に記しました。
▼馬の手入れの目的
・土や汗、垢などの汚れを落とす
・肌のマッサージ
・蹄や脚、肌に傷や何か刺さっていないか?などの異常が無いか点検する
・いつもと比べて馬の調子、反応にも異常はないかチェックする

▼馬の手入れや馬装を行う際に安全のために気を付けて欲しいこと
・当然馬の後ろに立たないこと、後足の裏掘りの際には蹄部を腹側から持つこと
・自分の足や手を馬の足に踏まれないように注意を払う
・道具を見せて今から何をしようとしているのか教えながら手入れをする(安心させる)
ヘルメットを付けて手入れをしよう(頭を後肢の膝などで蹴られる可能性があるので)
*これら以外にも手入れの目的、安全のために注意すべきことはまだまだあることでしょう。
 いつもと違う反応、調子が悪そうでないかなど手入れ時、そして馬装時以外の引き馬、騎乗時にも気にしておきましょう。
乗馬クラブでは人の命や怪我を除けば基本的には馬優先になっていることでしょう。馬はデリケートなところのある生き物であり驚かせるような行動は慎まなければなりません。馬を丁寧に扱うためには馬について知らなければ充分にはできません。例えば馬が汗をかいたので騎乗後水洗いをしてあげるときには心臓から遠い後ろ脚から水をかけ始めるというのがあります(人間がプールにいきなり飛び込まないで足から水をかけ始めるのと同じです)。馬の手入れと馬装などの馬の扱いについては必ず専門家であるクラブスタッフに教えてもらってやりましょう。以下に一例としてオリンピッククラブで教えていただいた馬の手入れ(騎乗前)&馬装の流れを記しました。理解を助ける参考としてご覧下さい。


◆一鞍目&二鞍目に騎乗する馬と馬場、指導員の先生、騎乗時間等を確認する
◆無口と引き手綱を持って馬房に行き馬に装着
◆馬房から洗い場に引馬
◆鎖に繋ぐ
◆鞍、頭絡&手綱、ゲルパッド、毛布を持ってくる
◆馬の手入れ道具を集める
◆蹄を裏彫りする
◆プラスティックブラシで毛の下の汚れを浮き立たせる
◆毛ブラシで汚れを払い落とす、肌のマッサージをする
◆毛布、ゲルパッド、鞍の順に馬の背中に載せる
◆腹帯を締める
◆無口を外して頭絡を付ける
◆無口を頭絡の上から付けて鎖につなぐ
 ★番外編(ぼろを処理する)
◆馬場に引馬



以上の様にやることは多く、馬房から引馬して手入れ&馬装で30分くらいはみておいた方が良いでしょう。
◆一鞍目&二鞍目に騎乗する馬と馬場、指導員の先生、騎乗時間等を確認する
受付を済ませたら厩舎側へ抜けたところの厩舎の壁に皆さんがその日に騎乗する馬と馬場などを書いた一覧表が張り出されるので確認しましょう。
順に張り出されてくるので、しばらく自分の名前が出てこないときもあります。騎乗までに時間があるときはとりあえず着替えてきてもう一度確認し、それでも名前がないときはスタッフにすぐに確認しましょう。

 (以前友人が車を出してくれることになり事前にクラブバスをキャンセルしてクラブに行ったところ、騎乗予定表に名前がなくスタッフに確認したら手違いで騎乗予約までキャンセルされてしまっていました。キャンセル内容ははっきりと伝え確認するよう皆さんもお気を付け下さい。)
騎乗予定表には馬場名、騎乗時間、自分の氏名、騎乗馬、指導員の先生の苗字が書かれています。馬によっては馬装に関して注意書きがしてあるのでチェック。一鞍目、二鞍目に騎乗する馬についてスケジュールを把握しましょう。具体的には騎乗する馬がその前にどこの馬場にいるのか?確認しましょう。馬場にいなければ厩舎か洗い場です。

 騎乗予定表の上には「馬の肢をしっかり拭いてから厩舎に戻して下さい。馬の肢が病気になります。」などの注意書きもあるので張り紙に一通り目を通しておきましょう。
馬の厩舎(馬房)の配置図です。一鞍目、二鞍目に騎乗する馬の馬房の位置を把握します。
◆無口と引き手綱を持って馬房に行き馬に装着
何箇所かに無口と引き手(綱)がおいてあるのでそれらを持って馬房に向かいます。騎乗時間の30分前には用意を始めましょう。

馬装方法をまだ覚えていなくて自信がないなら更に余裕をみてはじめ、スタッフに教えてもらいながらやるなどして騎乗に遅れないよう工夫をしましょう。
まずは軽く挨拶。驚かせないようにゆっくりと近づいて、撫でたり、話しかけたり。これから乗せてもらうのですからやさしく接してあげますよね。無口を見せてこれからつけるよということを教えてあげれば協力してじっとしてくれる馬もいます。
扉を開いて中に入ります。馬の左側に立ち喉側から鼻梁(びりょう)を抱え込むように右腕を回して顔を抑えて左手で持った無口の輪になっている先端部(頭絡なら鼻革にあたるところ)を鼻からかけます。

あまりもたもたしてると首を振り出す馬もいますがしっかり顔を抑えて手早く装着します。
馬の鼻を奥までつっこんだら次は左手で上に引っ張った項革にあたるベルトを耳の上を通します。
咽革にあたるベルトを頬革にあたるべルトの金具に掛けます。

前髪がベルトに巻き込まれていたら顔側に垂らして整えてあげます。また無口がバランスよく顔に装着されるよう位置を調整します。

そして写真のよう顎下にある引き手環に引き手の金具をかけます。
◆馬房から洗い場に引馬
馬の左側に立って馬を引きます。馬房の扉は全開のままで。引き手の馬の顎下15cmくらいのところを右手で持ちます。馬の首の横に位置して離れずに一緒に移動します。馬が動かないときは綱を引いて促します。
クラブ内移動時は他の馬も引き馬されてますので注意して移動しましょう。人通りがあるときは「馬通ります」と声を掛けて進みましょう。
洗い場に入りました。奥まで行って
奥でぐるっと回って前を向かせます。
◆鎖に繋ぐ
洗い場の柱に鎖がついてますので、無口の鼻革の両横にある引き綱環に鎖を繋ぎます。
左右両方の鎖を繋ぎます。馬を洗い場に繋いでおくときはこの状態までしてやれば良いので、ここで一息ついてもかまいません。トイレにいくとか、ロッカーに物を置きに行くとか。
◆鞍、頭絡&手綱、ゲルパッド、毛布を持ってくる
次に頭絡、鞍、鞍の下に敷くゲルパッドなどの馬具を取りにいきます。置き場はスタッフに場所を教えてもらいましょう。
 馬場にもよりますが馬ごとに馬具は全て決まっている場合もあるし、共通のものを使う場合もあります。決まっている場合でもたまたまその馬具が壊れていて、別の馬のものを使うこともあります。もし見つからなかったらスタッフに聞きましょう。

←頭絡(with手綱)を探してます。
写真は鞍の位置が書かれたホワイトボードです。
TDマルタンなど補助(?)馬具を装着させる馬の場合はこのホワイトボードや騎乗予定表にその旨書いてありますので確認しておきましょう。
鞍や鞍下に敷くゲルパッドを持っていきます。
うぅ〜結構重い
取って来た鞍や頭絡を洗い場のポールの上に置きます。
馬体に最初に被せる毛布(またはゼッケン←写真はこれ)も所定の場所やポールにかかっているものを確保します。2枚重ねなど馬によっては指示があるので騎乗予定表をチェックしておきましょう。
◆馬の手入れ道具を集める
手入れ用具を取りに来ました。
騎乗前の馬の手入れ3点セット。左から「てっぴ」「プラスティックブラシ」「毛ブラシ」。
ケースに道具の名前が貼ってあるので上記3点を探して持っていきます。
◆蹄を裏彫りする
「てっぴ」で蹄の裏彫りをします。
→蹄の裏にたまった泥や飼葉、小石など付いている汚れを取り除きます。
馬の右肢の蹄も馬体の左側から裏彫りします。
後ろ肢の蹄も裏彫りします。左、右と両方やります。
◆プラスティックブラシで毛の下の汚れを浮き立たせる
次に毛並みに逆らうようにプラスチックブラシをかけて汚れを浮き立たせます。
お腹やおしりにブラッシングすると嫌がって横蹴りなどを繰り出してくる馬もいますので馬の様子をみてブラッシングしてあげましょう。
◆毛ブラシで汚れを払い落とす、肌のマッサージをする
毛ブラシをかけて、浮き立たせた汚れや抜け毛を取り除きます。同時にマッサージにもなってますので、汚れてないところも含め一通りブラシがけしましょう。
後肢近くをブラシがけするときは馬の反応に特に気をつけて、蹴られたり踏まれたりしませんように・・。

ブラシがけ作業中はなるべく
道具を持っていない方の手は馬体に添えて、馬に自分のいる場所を教えつつ安心感を与えましょう。
◆毛布、ゲルパッド、鞍の順に馬の背中に載せる
ここから馬装。毛布(またはゼッケン)をかけます。少し前よりにかけて毛並みに沿うように後にづらします。毛布の前側が馬体を横から見たときに前肢の真ん中の延長上にくるくらいの位置にします。
ゲルパッドを載せます。ゲルパッド、ゼッケンともに左右均等になるよう置きましょう。
鞍を載せます。
◆腹帯を締める
腹帯を馬体の右側に下ろします。

(写真は馬体の左側にいますが、
 右側にまわっておろす方がよいですね。
 または馬を驚かせないようにゆっくりおろしましょう)
おろしたら馬体の左側から、腹下に腹帯をまわします。

(ランニングマルタンなど腹帯に通す補助馬具があるときは先に馬の首につけておいてここで腹帯に通します。補助馬具によっては騎乗前に手綱を金具に通して繋ぐなどするのでここでは仮装着になります。)
金具付きのベルトが鞍の革の下にあります。革をめくって・・
鞍とゼッケンなどが前後にずれないように鞍下の白い繊維性のクッションやゼッケンに腹帯とベルトを通す部分が大体あります(この写真では無いですが)。そこに通して腹帯とベルトをとめます。ここではきつくはしめず、引馬してもずれない程度に緩み無くとめておきます。ベルトは3本あり外側の2箇所でとめます。

写真はないですがこの後き甲の上にかぶっている毛布を上に引っ張り、き甲と毛布の間を少しあけます。騎乗中などにき甲に鞍の重みがかかりすれることを緩和するためです。
◆無口を外して頭絡を付ける
まず手綱を首にかけます。つぎに無口を取ります。

(無口を取り外した後に馬が首を上げて横の方を向いてしまったりすると頭絡がつけられません。そんなときに首にかけた手綱を引いて合図して首の位置を戻させます。手綱をかけ忘れた場合、掴むところもなく馬を御することが出来ません。そうならないために先に手綱を首にかけてますので。)
右手で頭絡を持ち左手ではみを広げて持ち銜えさせて頭絡を左手に持ち替え(項革周辺あたりを持つ)顔にかぶせます。
馬の耳を項革に一つづつ通します。額革での鬣の巻き込みなど無きよう適度に外側に鬣を出して整えます。
顎下で鼻革を頬革の内側でとめます(手綱が外側にくるように)。ここはきつめに締めます。だいたい鼻革に留金の跡が残っているのでそこくらいまで締めれば大丈夫でしょう。
咽革をつなぎます。顎下にげんこつ一個入るぐらいの余裕を持たせてつなぎます。

これでひとまず馬装終了です。

(騎乗前に腹帯しめたり、仮装着しておいたランニングマルタンなどの補助馬具を正しく装着したりするのは残ってますが)
◆無口を頭絡の上から付けて鎖につなぐ
馬装後、騎乗までに時間がある場合、頭絡をつけている上から無口をつけて鎖につなぎます。
無口の顎下のベルトを留める際、手綱を2,3回ねじってベルトに通しておきます。
★番外編(ぼろを処理する)
あらあらっ、ぼろをしてしまいました。
馬装中でもすぐに籠とくま手を持ってきて掃除してあげましょう。



← シャカッ、ひとかきで全部とるとはお主できるな
   (・・・普通に処理してください。。)
洗い場の近くなどにぼろを溜めておく用の一輪車があるので入れましょう。
◆馬場に引馬
馬場での前に行われているレッスン状況をみて、時間になりましたら鎖を外して無口も外して馬場に引馬します。
さぁーてと、いよいよ馬場に来ました。

手綱を馬の首にかけて腹帯をきつく締めます。仮装着しておいたランニングマルタンなど補助馬具があればここで装着を完成させます。鐙をおろして鞍上に乗ります。乗るときに台が必要な方は馬場の周辺にあるものを持ってきて使いましょう。乗ってからも腹帯をまだ締められるなら締めましょう。レッスン途中にも馬装点検が入って腹帯を締めなおします。

それでは今日も乗馬を楽しみ、実りあるレッスンになるといいですね。

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